十代 三輪休雪 松陰先生百年祭記念 萩ヤキ茶碗 百ノ内

作者 十代 三輪休雪
状態 使用感あり
ただし割れや欠けもなく無傷完品
箱に経年の汚れあり
縦幅
約13.0cm
横幅 約13.5cm
高さ
約 9.0cm
刻銘 高台脇に「休雪」の印あり
また、共箱に作者自筆と印、
蓋裏に表千家十三代 即中斎宗匠の
箱書きと花押あり
付属品 共箱・しおり・共布
薄葉紙・箱かぶせ紙
価格 ¥120,000

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 長州藩萩において、多くの維新志士を育てた吉田松陰先生の百年祭に合わせて作られたお茶碗です。作者は地元萩市の人間国宝、十代 三輪休雪で、萩焼伝統の枇杷色釉薬が美しく発色した作品となっています。本品は百個焼かれた内の一つであり、蓋裏に表千家十三代 即中斎宗匠の箱書きがあります。

 状態は使用による茶染みがあるものの、無傷完品であり割れや欠けなどはありません。画像緑〇の部分に石爆ぜの痕がありますが、これは焼成時に窯のなかで、陶土に含まれる小石が飛んだもので、お茶碗の景色となるものであり、キズではありません。ただし、箱には経年のシミ、汚れがありますので、画像でのご確認をお願いします。
 箱書きに「即中斎好」とあるように、即中斎宗匠の花押が箱蓋に書かれ、また「十代 休雪造」と箱書きされています。
 付属品は共箱としおり、共布が残っており、さらに当店で薄葉紙と箱かぶせ紙を用意させていただきました。

十代 三輪休雪(休和)

 400年の長い歴史を持ち、茶陶の名門でもある萩焼。その頂点に位置した人間国宝・三輪休和氏が八十六年の生涯を閉じたのは、1981年の10月24日でした。

 1910年に旧制中学校を中退し、祖父である八代雪山、父九代雪堂に作陶を学び、1927年に雪堂が隠居するにあたって、十代休雪を襲名しました。当時三十二歳でした。この時期は大正・昭和の不況により、多くの窯元が廃業を余儀なくされた時代でした。
 三輪家であっても辛い時代であり、窯の火を守るために日用品や神社のお土産を作って売る日々が続きました。

 転機が訪れたのは1941年、陶芸家川喜多半泥子との出会いでした。
来萩した川喜多半泥子は三日間、三輪窯に滞在。その縁で1942年に「からひね会」が発足します。
 からひね会のメンバーは半泥子のほか、荒川豊蔵、金重陶陽と三輪休雪(休和)の四名です。
 この会では桃山陶の探求と現代作品への活かし方、作陶精神をめぐって交流を深めました。

 休和は江戸期の古萩を参考にしながら、現代の萩焼の技法を確立していきます。それはただ古作を写すのみということではありませんでした。
 休和の作行は、古萩の茶碗よりもさらに厚く、柔らかな印象のある仕上がりとなっていて、形はむしろ古萩や高麗茶碗よりも、楽や光悦といった、日本で生まれた焼物に近いものとなっています。
 また伝統的な藁灰釉の改良にも取り組み、その結果、雪のような釉薬「休雪白」を生み出しました。
 これらの功績によって1970年、休和は重要無形文化財「萩焼」保持者に認定されました。